Clayとは何をするツールなのかを、2026年8月13日時点の公式情報だけで整理します。ウォーターフォール補完・Claygents・CRM補完の3機能、ActionsとData Creditsの2本立ての課金、日本企業データを確認する手順、補完したデータをCRMへ入れる前に決める4点まで扱います。

Clayは、企業・担当者のデータを外部から集めて補完し、その結果を営業やマーケティングの動作につなげるためのツールです。公式サイトは Clay 公式サイト で、自らを「データを取得し、エージェント型のワークフローを動かし、GTMの施策を立ち上げるための基盤」と説明しています。
日本語の情報は少なく、名前だけが先に知られている状態です。この記事は2026年8月13日に公式サイトから取得した情報だけを使い、何をするツールなのか、費用はどう決まるのか、日本で使うときに何を確認すべきかを整理します。
先に結論を1つ書きます。Clayの費用は「使う人数」でも「連携する本数」でもなく、完了した処理の回数と、購入したデータの件数で決まります。 ここを取り違えると見積もりが崩れます。
Clayとは何ですか?
外部データの取得と、その加工・配信をひとつの画面で組み立てるツールです。表計算に似たテーブルの各列に「この情報を取ってくる」「この条件で絞る」「この文面を作る」といった処理を割り当てて動かします。
公式サイトが挙げる中核は3つです。マーケットプレイス経由でのデータ取得、AIによる調査、そしてCRMへの反映です。データの提供元は200社以上と表記されています(クレジットの説明では「150以上のデータパートナー」と書かれた箇所もあり、サイト内で表記が揺れています)。
用途は、新規のリスト作成と、既存データの補完の2つに分かれます。前者は条件に合う企業と担当者を集める作業、後者は手元にある企業リストの欠けている項目を埋める作業です。どちらも「データを買う」部分が費用の中心になります。
Clayで何ができますか?
公式が名前をつけて紹介している機能は、ウォーターフォール補完、Claygents、CRM補完の3つです。
機能 | 何をするか | 何に効くか |
|---|---|---|
ウォーターフォール補完 | 複数のデータ提供元を順番に当てて、最初に見つかった値を採用する | 1社では埋まらない項目の充足率 |
Claygents | AIが対象の企業・人物を調べて、指定した項目を埋める | 定型のデータベースに無い情報 |
CRM補完 | 取得・補完した結果をCRMへ書き戻す | 手作業の転記をなくす |
ウォーターフォール補完は「1社では埋まらない」前提の設計
同じ項目を複数の提供元に順番に問い合わせ、最初に値が返った時点で止める仕組みです。1社のデータベースだけを使うと、日本企業のように収録の偏りがある領域では欠損が残ります。順番に当てれば充足率は上がります。
代わりに、費用は「当てた回数」ではなく「取得できた件数」で動きます。 前段の提供元で埋まれば安く、後段まで回れば高くなります。見積もりを作るときは、対象件数と、どの項目をどこまで埋めたいかを先に決めておく必要があります。
順番の設計には実務上のコツがあります。安くて当たり率の高い提供元を前に、高くて範囲の広い提供元を後ろに置きます。 逆に並べると、前段で高い単価を払い続けることになります。
もうひとつ決めておくのは、止める条件です。全項目を100%埋めようとすると、最後の数%に費用の大半が乗ります。「メールアドレスは70%埋まれば次に進む」のような線を先に引くと、コストは読めるようになります。 埋まらなかった行は、後で別の手段に回すか、そもそも対象から外すかを決めます。
新規のリスト作成と、既存データの補完は分けて設計する
同じツールで両方できますが、費用の出方が違います。
新規のリスト作成は、条件に合う企業を探す段階から購入が発生します。件数が読めないので、まず小さく条件を試して母数を確かめてから広げます。既存データの補完は対象件数が最初から確定しているため、1件あたりの消費を測れば全体の見積もりが立ちます。
先にやるべきは後者です。 手元のリストで1件あたりいくらかかるかを知らないまま新規探索を回すと、条件を変えるたびに費用が動いて比較できません。
ClaygentsはAIに調べさせて埋める
データベースに項目が無い情報を、AIが公開情報から調べて埋める機能です。「この会社は自社でECを運営しているか」のような、定型項目では表現できない条件を扱えます。
ここで注意が要ります。AIが埋めた値は、データベースから取得した値と同じ列に並びますが、根拠の強さが違います。 CRMへ書き戻す前に、どの列がAI由来かを区別できる状態にしておいてください。区別が消えると、後から検証できない値が営業の判断材料になります。
運用としては、値の隣に根拠の列を1つ作るのが確実です。判定に使ったページのURLか、判断の要約を残します。営業が「なぜこの会社がこの分類なのか」を確認できるようになり、外れたときに条件を直せます。
指示の書き方も費用に効きます。曖昧な条件は判定が揺れ、同じ会社を2回調べても違う答えが返ります。「自社ECを運営しているか」なら「自社ドメインで購入まで完結する導線があるか」まで落として書くと、揺れが減り、やり直しのぶんのActionsも減ります。
料金はどう決まりますか?
Actions と Data Credits の2本立てです。 公式の定義はこうです。Actionsは Clay上のオーケストレーション(補完の実行、テーブルの実行、AIモデルの呼び出し、外部システムへの送信、エクスポート)を数える単位。Data Creditsはマーケットプレイスからデータを購入するときに消費される単位です。
プラン | 月額(USD) | Actions/月 | Data Credits/月 | シート |
|---|---|---|---|---|
Free | 無料 | 500 | 100 | 無制限 |
Launch | $167 から | 15,000 | 3,000 | 無制限 |
Growth | $446 から | 40,000 | 6,000 | 無制限 |
Enterprise | 要問い合わせ(年間契約) | 200,000以上 | 100,000以上 | 無制限 |
年払いには割引があります(公式表記は「Save 10%」)。ただし表示される金額は選ぶ枠によって変わるため、金額の確定は申し込み画面で確認してください。数値は2026年8月13日に Clay 公式サイト(料金) から取得したものです。
見積もりは「本数」ではなく「完了する処理の回数」で置く
Actionsは処理が動いた回数を数えます。テーブルを1回まわすたびに、行数 × 実行した列の数だけ消費が発生する形になります。つまり費用は対象件数に比例して伸びます。 1,000社を10項目埋めるのと、10,000社を10項目埋めるのは、同じ設計でも10倍違います。
Data Creditsは購入したデータの件数に対応します。ウォーターフォールで前段が当たれば消費は少なく、外部の有料ソースまで回れば増えます。「どの項目を、どの充足率まで埋めるか」が費用を決める最大の変数です。
はじめに小さく測ってください。100社で1回まわし、Actionsと Data Creditsの消費を実測してから全件に広げます。無料プランは月500 Actions・100 Data Creditsなので、試算のための1回目には足ります。
日本で使うときに確認すること
日本企業データの収録範囲は、公式サイトの表記からは判別できません。 提供元が200社規模のマーケットプレイスであり、どの提供元が日本企業をどこまで持っているかは、実際に試すまで分かりません。この記事では断定しません。
確認する順番を決めておくと早く済みます。
自社のICPに当たる企業を10社、名前で引いてみる。 上場企業だけでなく、非上場・中小の実在企業を混ぜる
埋まった項目の取得元を確認する。 どの提供元から来た値かが分かる状態か
識別子で突合できるかを見る。 法人番号や本社住所のように、後からCRM側のレコードと1対1で合わせられる項目があるか
3番目を飛ばすと、後で困ります。社名の表記だけで突合すると、「株式会社」の位置や英語表記の違いで別レコードになります。取得した時点では正しいデータでも、CRMに入れた瞬間に重複になります。
取得元を確認する理由は、もうひとつあります。提供元ごとに更新の頻度が違うからです。複数の提供元を順に当てる設計では、同じ会社の同じ項目に対して、古い値を持つ提供元が先に当たることがあります。前段で埋まればそこで止まるので、新しい値を持つ後段の提供元には問い合わせません。
したがって、住所や従業員数のように変わる項目では、どの提供元から来たかと、いつ時点の値かをセットで持つ必要があります。取得元が分からないデータは、古くなったときに直す手がかりがありません。
海外のBtoBデータベースを比べる場合は、ZoomInfoとはとApollo.ioとはで、それぞれの収録範囲と価格の考え方を整理しています。
日本語UIの対応範囲と、日本のチームで使うときに詰まる箇所はClay 日本語版・日本語UIガイドにまとめています。
向いているケース、向いていないケース
状況 | 判断 |
|---|---|
海外企業を対象に、条件を細かく指定してリストを作りたい | 向いている。提供元の多さとAI調査が効く |
定型項目に無い条件(事業の特徴・技術の利用)で絞りたい | 向いている。Claygentsの用途 |
対象が日本企業のみで、網羅性を求める | 要検証。収録範囲を自分で測ってから決める |
月に数万件を継続して補完したい | 費用が件数に比例する。実測してから設計する |
CRM内の既存データの重複・表記ゆれを直したい | 用途が違う。補完の前段に整備が必要 |
最後の行が、実務でいちばん多い取り違えです。Clayは外からデータを持ってくるツールで、手元のデータを整えるツールではありません。 汚れたCRMに補完をかけると、汚れたレコードが増えます。
判定は簡単です。いま自社のCRMに同じ会社が2件以上入っているなら、補完より先に整備です。 重複が残った状態で外部データを足すと、どの1件を正とするかが決まらないまま項目が増えます。
補完したデータをCRMに入れる前に決めること
外部データの取り込みで壊れるのは、たいてい取り込みそのものではなく、取り込んだ後の重なり方です。決めるのは4点です。
1. 既存の値を上書きするか。 手で入れた値と外部の値が食い違ったとき、どちらを残すかを項目ごとに決めます。「新しい方を採る」を既定にすると、営業が確認して直した値が上書きされます。
2. 重複の判定をどうするか。 社名の表記が違うだけで別レコードが増えます。法人番号のような識別子で判定するのか、社名と住所の組み合わせで判定するのかを先に決めます。
3. 表記ゆれを揃えるか。 「(株)」と「株式会社」、全角と半角、旧社名と現社名。揺れたまま入れると、後から集計もセグメントもできません。
4. 戻せるようにするか。 統合は不可逆です。実行前にルールを定義し、結果をプレビューし、変更履歴を残す設計にしておきます。
4点とも、決めるのは技術の話ではなく誰が判定するかの話です。上書きの可否は営業の運用に関わり、重複の判定基準は集計の定義に関わります。ツールの設定画面で決められることでも、決めるのは業務側です。ここを曖昧にしたまま自動で取り込むと、直す人がいないまま値が入り続けます。
取り込みは1回で終わりません。 補完は繰り返し走り、そのたびに同じ4点が問われます。だから運用として回る形にしておく必要があります。
DataSangoは、この4点をCRM上で回し続けるためのツールです。PCMET(Prospect / Cleansing / Merge / Enrichment / Transform)+ AIでデータを整備し続け、重複・表記ゆれ・欠損・未分類を整えてゴールデンレコードを作ります。統合は不可逆なので、統合ルールの事前定義、実行前のプレビュー、変更履歴の保持を備えています。元に戻す場合は変更履歴をCSVで出して入れ直します。
接続できるCRMは Salesforce、HubSpot、Pipedrive です。プロスペクトは500万社以上の企業データベースから条件に合う企業をCRMへ一括で追加します。外部から足す前に、足す先を整えるという順番で使います。
役割を分けると、こうなります。Clayは外から取ってくる側、DataSangoはCRMの中を整える側です。どちらか一方では、リストは増えても運営基盤にはなりません。
リスト作成から整理したい場合は見込み客リストとは、条件設計から入る場合はターゲットリスト作成ガイド、既存データの重複を先に片付ける場合はCRMデータの重複統合ガイドを参照してください。
自社のCRMがいまどの状態かを見るところからであれば、DataSangoの無料プランで接続してデータ健全性を可視化できます。
よくある質問
Clayは何をするツールですか?
企業・担当者のデータを外部から取得して補完し、その結果を営業やマーケティングの動作につなげるツールです。マーケットプレイス経由のデータ取得、AIによる調査(Claygents)、CRMへの書き戻しを1つの画面で組み立てます。
Clay AIとは何ですか?
ClayのAI機能はClaygentsという名前です。AIが対象の企業・人物を公開情報から調べ、指定した項目を埋めます。定型のデータベースに項目が無い条件を扱えるのが用途です。取得した値と根拠の強さが違うため、CRMへ入れる前にAI由来だと分かる形にしておいてください。
ClayはCRMと連携できますか?
公式サイトはCRM補完を用途として挙げています。接続できるCRMの種類と項目単位の対応は公式で確認してください。書き戻す前に、上書きの可否と重複判定のルールを決めておくことが要点です。
Clayの料金はいくらですか?
2026年8月13日時点の月額は、Freeが無料、Launchが$167から、Growthが$446からです。Enterpriseは要問い合わせで年間契約です。年払いには割引があります。金額はUSDで、表示は選ぶ枠によって変わります。
ActionsとData Creditsの違いは何ですか?
Actionsは Clay上で動かした処理の回数です。補完の実行、テーブルの実行、AIモデルの呼び出し、外部システムへの送信、エクスポートが含まれます。Data Creditsはマーケットプレイスからデータを購入するときに消費されます。処理を組むほどActionsが減り、データを買うほどData Creditsが減るという別立ての設計です。
Clayに無料プランはありますか?
あります。月500 Actions、100 Data Creditsで、シート数は無制限です。試算のために100社ぶんを1回まわす用途には足ります。
Clayは日本企業のデータを持っていますか?
公式サイトの表記からは判別できません。 提供元が200社規模のマーケットプレイスで、日本企業の収録範囲は提供元ごとに違います。自社のICPに当たる実在企業を10社ほど名前で引き、埋まった項目と取得元を確認してから判断してください。
Clayのデータを自社のシステムへ渡せますか?
公式はエクスポートと外部システムへの送信をActionsの対象として挙げているため、Clayの外へ出す経路は用意されています。APIやコネクタで何をどこまで渡せるかは公式で確認してください。設計上の注意は、出す先を1つに決めることです。 CRMとBIと自社DBに同時へ出すと、後からどれが正なのか判らなくなります。まずCRMに入れ、そこから配るほうが崩れません。
導入の判断はどこから始めればよいですか?
対象件数と、埋めたい項目、許容する充足率の3つを先に書き出してください。この3つが決まれば、無料プランで100社ぶんを1回まわすだけで、全体の費用がおおよそ見えます。ツールの機能を比べる前に、自社の要件を数値で書けるかどうかが分かれ目です。 並行して、CRM側の重複と表記ゆれの状態も見ておきます。整えていない先に補完をかけると、増えるのは重複です。
Clayで取得したデータをそのままCRMに入れてよいですか?
入れる前に4点を決めてください。既存の値を上書きするか、重複をどの項目で判定するか、表記ゆれを揃えるか、戻せるようにするか。とくに統合は不可逆なので、実行前のプレビューと変更履歴が要ります。


